作品:賢者の贈り物『作者:オー・ヘンリー』

賢者の贈り物『作者:オー・ヘンリー』

二人がお互いにプレゼントし合った物(物質)は無駄になる。

でも、二人が相手を思う気持ち(心)は、お互いに通じ合う。

プレンゼントは、形や値段ではなく、真心である、という物語り。

 

クリスマスイブの日。

愛しい男性のために、女性が相手へのプレゼントを考えている。

でも、毎日必死に働いて、残っている財産は、彼女のポケットに1ドル87セントしかない。

彼女は大きな声で泣くしかありませんでした。

その泣いている彼女の髪は、美しい褐色の小さな滝のようにさざなみをうち、 輝きながら流れ落ちていきました。
髪は彼女の膝のあたりまで届き、まるで長い衣のようでした

そう、彼女には宝物が一つだけありました。
それはシバの女王の宝石でさえ色あせてしまう程の長くて美しい栗色の髪。

「自分の髪を売って、あの人のプレゼントを買おう!」

彼女は泣くのをやめて、その髪を売ることにしました。

髪を切っている間、彼女は男性へのプレゼントを何にするか考えていました。

(彼が大切にしている金時計の革紐がボロボロになっていたわ……)

その紐の代わりに、金時計に似合う上品なチェーンを彼女は買いました。

 

帰ってきた男性は、彼女の髪を見て、びっくりしました。それと同時に力を落としました。

それは彼女が想像もしていなかった悲痛な表情でした。

彼女は男性に話しかけました。

「そんな顔して見ないで。 プレゼントを買うために、髪は切って売っちゃったの。それでも、私のこと、変わらずに好きでいてくれるわよね」

男性は周囲を見回し、髪を探すような素振りをした。

「髪はまた伸びるから……。ねえ、クリスマスイブでしょ、優しくしてね」

男性は、ぼうっとした状態からはっと戻り、彼女を抱きしめました。

そして、男性は、ポケットから包みを取り出すと、それを彼女に渡した。

「僕のことを勘違いしないで。 髪型が変わったからと言って、僕のかわいい彼女を嫌いになったりするもんか。でも、その包みを開けたら、僕がどうしてガッカリな表情をしたのかわかるよ」

包みの中には櫛(くし)が入っていました。セットになった櫛(くし)で、 横と後ろに刺すようになっているものでした。
その櫛のセットは、 彼女の売ってなくなった、あの美しい髪にぴったりでした。

彼女は櫛(くし)を胸に抱きました。

そしてやっとの思いで涙で濡れた目をあげ、微笑んでこう言いました。

「わたしの髪はね、とっても早く伸びるのよ!」

ハっと思い出したように、彼女は、男性の手のひらに、プレゼントとして購入した上品なチェーンを手渡した。

「ねえ素敵でしょ?町中を探して見つけたの。 あなたの時計にこの鎖をつけたら、一日に百回でも時間を調べたくなるわよ。 時計、貸してよ。この鎖をつけたらどんな風になるか見たいの」

男性はその言葉に従わず、椅子に座り込んで話した。

「僕達のクリスマスプレゼントは、 しばらくの間、どこかにしまっておくことにしよう。 いますぐ使うには上等すぎるよ。 櫛(くし)を買うお金を作るために、僕は時計を売っちゃったのさ。 さあ、美味しいクリスマスの料理を食べよう!」

東方の賢者(イエスの誕生時にやってきてこれを拝んだとされる人物)が、
イエスを見て贈り物をした事柄から、クリスマスにプレゼントを贈る、という習慣が始まったとされています。

この物語りの男性と女性は、その賢者に習ったわけですが、お互いのプレゼントは台無しでした。

 

でも世界中の贈り物をする、すべての人が、この二人の最も賢明な行為に共感すべきです。

なぜなら、二人がお互いにプレゼントし合った物(物質)は無駄になっています。

けれども、二人が相手を思い、プレゼントしたいと思う気持ち(心)は、お互いに通じあっているからです。

 

この男女こそ、本当の、東方の賢者なのです。

 

賢者の贈り物『作者:オー・ヘンリー』より

原題: The Gift of Magi

情報元:青空文庫

 

        

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